「ゆーいちーーーっ!」
ばんっ!!
これでもかというくらい遠慮なく思い切りドアが開けられる。
ベッドにもたれかかって座っている祐一と、正面から目が合う。
ニヤついた顔で何かを抱きしめるような格好をしたまま硬直している祐一と。
数瞬の静寂―――
「…わあああっ!?―――こらっ、ま、真琴っ!ノックくらいしろっつったろが!?」
祐一が慌てまくって手をばたばたさせる。
こっそりと右手を微妙に動かして―――
「…祐一、今何か背中に隠した」
「気のせいだっ!錯覚だ!!」
当然のように、バレる。一度正面から見合っているのに隠す意味も何もない。
それでもムキになって祐一はベッドの下に「それ」を押しやる―――
「ちょっと、もう見えちゃってるのよねー…なんかすごく見覚えのあるものだったから♪」
にっこりと真琴が笑う。
いいオモチャを見つけた―――そんな笑顔。
慌てる祐一と、構わず近づいてゆく真琴。
「もう、そんなにテレなくてもいいのにねぇ〜?」
「バ、バカ、近づくなっ!近づくと…危険だぞっ!?」
苦し紛れに思いついたまま言った祐一の言葉に、ぴたりと足を止める。
意外と素直だった。
「…何が危険なのよ」
「え、えーと…つまりだな、この部屋は昔かなり神経質な受験生が住んでいた部屋でそいつは邪魔されるのが凄く嫌いだったわけだ。結局受験に落ちて自殺してしまったんだがその時この部屋に憑りついてしまってな。ノックせずに部屋に入った奴が部屋の真中まで歩くと呪いが―――」
すたすたすた。
ひょいっ。
あっさりと真琴は祐一の隣まで歩き、しゃがみ込んでベッドの下から「それ」を取り出した。
「お…おいっ、呪いがっ!?」
「祐一、自分の部屋に入るのにいっつもノックしてるの?大変ねー」
「………………ぐあ」
真琴はふふふと不敵に笑う。
その物を大きく掲げて。
「で、祐一はコレで何をしていたのかな〜?」
目の前に突きつけられて……祐一はそっぽを向く。自分でもどうしようもないくらい顔が赤くなっているのを感じていたが、生理現象は止めようがない。
頭の中では無数の言い訳が思いつく。そうだ、誤魔化す方法はいくらでもある。それ自体は致命的な物ではないのだから―――
…それ。
すなわち、今真琴が手にしているもの…少し前に真琴からプレゼントで貰った木のプレート。
「あいざわ ゆういち ここにねむる」と下手な字で書いてある、手作りの表札。名雪みたいに部屋の前のドアに掛けて使ってくれと渡された。
1週間前貰ったときはこんなの誰が使うか、と言い放った。もちろん一度も使ったことはない―――
…はあぁ…
混乱する頭で色々考えていると、真琴が哀しそうな顔を浮かべて大きくため息をついた。
「…祐一、そんなに寂しかったなんて。コレを真琴の代わりだと思っていつもああして抱きしめたり頬擦りしたりしてたのね…もう、言ってくれれば真琴はいつでも遊んであげるのに」
「ち、違うっ!!断じてそんな事してないからな!?」
「……もしかして、コレ使ってえっちなコトしてる?」
「するかっ!!!出来るかっ!!」
真琴の攻撃に祐一は完全にたじたじになって、とにかく出来る限りの大声を出して反論する。
もう全身がばくばくして動かないくらいめちゃくちゃにパニクっている。
…真琴の言葉が、必ずしも全部アテが外れているとは言えないだけに。
それにしても最近真琴はこういう話をよくしてくる。どうせまた何かマンガから余計な知識を得てきているのだろうが―――
「祐一の弱み一つ握っちゃった〜♪」
「誤解だ!偽造情報だ!伝送エラーだっ!!」
「うん。まあそれはいいんだけど」
祐一の必死の抵抗をあっさりと流して、ケロっと普段の顔に戻る。
かなり悔しかった。
「ホントは気に入ってくれてるのね、コレ♪良かったぁ」
今度はさっきまでの勝ち誇った笑顔ではなく、心底嬉しそうに。
「渡した時も怒られちゃったし…やっぱり使ってくれなかったから、ひょっとしたらこんなの貰っても迷惑だったのかなって思ってたの」
「………」
すうっと、音が聞こえそうなほど急速に体の緊張が解けていった。
…まだ、顔は赤い。
「そうとわかったら、うん。無理に使わなくてもイイよ。祐一にも色々考えてる事あるのかもしれないし」
「―――ったな」
「うん?」
ぼそっと小さな声で言った祐一の言葉は、真琴に完全に届く前に消えた。
「…悪かったな、素直じゃなくてっ。嬉しくないわけないだろ、バカ…」
照れ隠しに思い切り言ったつもりが、それでも最後のほうは消え入るように小さくなっていく。
言ってからあまりの恥ずかしさに後悔する。
(もっと他の言い方もあっただろうに………)

…わずかな間。
居心地悪い沈黙。
………………
「………な、なんか言えよっ!俺はさらし者かっ!?」
「ん〜♪たまには祐一もそういうコト言えるんだって感激しちゃった」
「くあっ…」
真琴には別にからかって言っているつもりはないのだろうが、祐一はその一言で改めてさっきの言葉の恥ずかしさを思い知る。
似合わない事はするもんじゃない。心底そう思った。


「そうだな。せっかく真琴が一生懸命プレゼント作ってくれたんだから…お返ししないとな」
「え?何かくれるのっ?」
真琴がはしゃいで、輝く瞳で祐一を見つめてくる。
「お前な…とりあえずは言葉の上だけでも悪いからいいよ、とか言っておくもんだぞ。こーゆー時は」
「なんで真琴と祐一の間に社交辞令が必要なのよぅ。そんな事より、何?何をくれるの?」
大人ぶって祐一が説教してみるが―――押されっぱなしだったからちょっと形勢逆転してみたかったのだ―――、真琴はあっさりと一蹴してしまった。
悲しい。
悲しいが、それはさておいて考えてみる。何をあげようか。金のかかるものは勘弁してもらいたい。やっぱり手作りのプレゼントには手作りのお返しだろうか。
手作りで何が作れるだろうか。はっきりいって手先の不器用さには自信がある。料理なんて平均的な日本人男性レベルの足元の爪先にも勝てないと確信できる。
―――さらに悲しくなった。
だから、聞いてみることにした。
「…真琴、何が欲しい?」
「祐一」


外は飽きもせず雪が降っていた。
まあ空が「最近雪ばっかりで飽きてきちゃったなぁ。今日はちょっと趣向を凝らして雹にしてみよっか♪」なんて考えるとも思えないが。
北国にやってきて思い知ったのだが、ここの雪は本当に溶けない。生命力の塊だった。
見るだけでも寒くなってくるので雪は嫌いだ。
明日は晴れるといいな。いや、何なら今からでも晴れて欲しい。
春が来て、ずっと春だったら―――


「………で、真琴、何が欲しい?」
「祐一が欲しい」


そういえば明日の体育はサッカーだ。こんな寒い時に外での授業なんて間違っていると思う。
…マラソンよりは、いいか。
ああ、なんでよりにもよってこんな寒い季節に寒いところに引越してきてしまったんだろう。
意味の無い愚痴だと知りながらつい思ってしまう。
寒いのはそんなに苦手だとは思っていなかったが、根本的に以前住んでいたところと気温が違う。
ああ。
春が来て、ずっと―――


「―――なんでいちいち向こうの世界に行っちゃうのよっ」
「最近俺耳が遠くなったらしいな…2回も同じ幻聴が聞こえてしまった…」
「現実よっ!祐一が欲しいって言ったのっ」
「お、俺はまだ自分の人生を人に預けられるほど何も悟っていないぞ!?」
「そこまで言ってないわよっ。わかんないわね―――あ、そうだ」
真琴は名案が浮かんだとばかりに、大げさに手をぽんっと打ってみせる。
「じゃ、1日祐一権ってのはどうかな?1日だけ、祐一は真琴だけのものになるの。意地悪な祐一もその日はちゃんと真琴の言う事を聞いてくれるの♪」
「ぐ…な、何か他の物はないのか?」
「何よぅ。イヤなの?1日一緒にいられるんだから喜びなさいよっ」
不満そうな真琴。
祐一は…確かに真琴の言う通りだと思う自分と、何か嫌な予感がするやめておけという自分との葛藤で悩んでいた。
1日真琴といっしょ。
………
…頬が緩む。
ぶんぶんっと頭を振る。冷静になれ、と。
(冷静に考えるんだ…一日真琴の言いなりって事だぞ?)
(例えば肉まんを死ぬほど奢らせらせるかも知れない。たった1日のはずが大被害だ)
(他にもどこに連れてかれる事になるんだか…)
さっき思いついて言っただけだというのは間違いない。そこまでの裏はないだろうが…
ちら、と真琴の目を覗きこむ。
目が合うとにっこりと笑った。可愛かった。思わず微笑み返した。
…そうじゃなくて。
「…ダメ?」
ああ。
ある意味ダメだった。
(…可愛すぎるっっ)
「ったく、仕方ないな。1日だけだからなっ」
仕方ない、と思い切り強調して言ってのける。
…そんな緩んだ顔で言っても何の説得力もないのだが。祐一は気付いていない。
「…うん♪」
こうして、約束は結ばれた。
決戦の日は―――明日。



その1日は、思いのほか平穏に過ぎていった。
確かに肉まんを奢らされたが、それほど大した被害額というほどでもない。特別な日の支出としては微々たるものだろう。
そりゃまあ…本屋で長々と立ち読みするのに付き合わされたり(店員に睨まれたときはなるべく自分が囮になる役割)、たまたま出会った舞に久しぶりと声を掛けただけで「約束が違うわよっ」と脛を蹴られたり(まだ痛い)という事もあったが。
真琴も特にこの機会にと何かを要求してくるでもなく。
いつも通り。
そして、紛れも無く、それは。
至って一般的な―――デートだった。


(俺から真琴へのプレゼントなのに…これでいいのか)
祐一は、幸せだった。
考えてみれば真琴と一日中遊んだ事なんて一度も無かった。いつも、ちょっといたずらしてみたりされたりという程度がほとんど「遊び」の全てだったように思える。
「ねえ祐一ーっ、ぼけっとしてないで早く来なさいよ〜っ!」
日が傾き風が冷たくなってくる時間。
思い出の詰まったこの丘は、夕日の光を受けて赤く輝いていた。
「すまん、ちょっと感慨に耽ってしまってた」
祐一は走り出す。先に行く真琴を追いかけるために。
<ね、かけっこしようよ!>
<あん?なんでまた…ガキじゃねーんだから>
<っさいわね。するったらするのっ!!>
走りながら自然に笑みがこぼれてくる。やっぱりこういう所は本当に変わらない。まだ子供―――
びしっ!
「あうちっ!?」
いきなり額に堅いものが当たった感触。石?にしてはやや柔らかい…
…赤い、何かの植物の実だった。
「何か失礼なコト考えてた罰よっ!」
当たった場所をさすりながら前を見ると、真琴が止まって祐一のほうを見ていた。
手に沢山持っているのは、例の実だ。
「お前それ―――」
びゅうううううううっ!!!!
突然、強い風が吹いた。稲穂がざわざわと音を立てて、ウェーブのように次々身を伏せていく。
「わ、きゃっ」
「くっ」
びゅおおおぉぉぉ………
吹き始めと少し違った音を上げて、やがて風は去っていった。
数秒間のあっという間の出来事。
「………祐一…」
「お、おう」
「見たでしょっ」
「な、何にも見えてないぞっ。風が強くて目が開けていられなかったからなっ」
だから、スカートが思い切り捲れたことなんて。
すぐに真琴が押さえてももう手遅れだったことなんて。
「目が合ってるのよっ!反射的に視線が下がってたのもちゃんとわかるんだからねっ!」
「…すまん。わざとじゃないんだ。そ、それに、心配するなって。真琴のパンツが見えたからって別に俺は何とも…」
動揺して、いちいち余計な事を口走る祐一。
「…何とも思わないって言うの?」
「ま…真琴もそんな気にするタチでもないだろ―――」
真琴が思い切り投げた固く赤い実は、全てキレイに祐一に命中した。


「わ、悪かったって。ごめんなさい。反省してますっ」
「祐一は、とにかく”でりかしー”がないのよ。女の子のコトなんて何も考えてないのっ」
分かって言っているんだかどうなんだか。
結構本気で怒らせてしまったらしい。と気付いてから祐一は平謝りだった。
家に着くまでに許してもらおう。でないと気まずすぎる。焦りながら、もう商店街も出口で、家まではもう少しだった。
はあ、と真琴のほうがため息をつく。
「いいわよ、もう…」
「…本当に反省している」
「うん。それより―――」
真琴は、あの丘を出て以来初めて祐一のほうを振り返って目を見た。
「まだ1日は終わってないから、ね」
ちょうど、家の玄関だった。


食後、祐一の部屋。
「―――”何でも正直なコトってね、素敵かもしれないけど”」
「―――”…優しい嘘が欲しい時もあるのよ?”」
相変わらず真琴はマンガを祐一に読ませるのが好きだった。いつもは面倒だと嫌がる祐一も、今日ばかりは素直に従う。
何度やっても女言葉は読みたくなかった。聞いていて自分が物凄く嫌になる。
真琴はそんな事は気にせず、いつも真剣になってその世界に入り込んでいる。祐一が知る限り、真琴が唯一人並みはずれた集中力を見せる時だった。
そして、読み終わった時、言うのだ。
「はぁ………すごく良かったぁ。祐一、ありがとう♪」
そんな真琴の反応が嬉しくて。それだけがこの役割のやりがいだった。
幸せなときは、刻一刻と過ぎてゆく―――


―――このまま終わっていれば、なんと美しく記憶に残る日だっただろう?


「ねえ、祐一…」
風呂にも入って、あとはもう寝るだけという時間。当然名雪はもうとっくに眠りの世界に入っている。
「…なんだ?」
今日は濃い1日だった。ちょっとしたハプニングもあったが、幸せだったと間違いなく言える。
真琴と過ごすのは、楽しい。
そう、思う。そして少しドキっとするのだ。
(なあ……俺、やっぱり真琴の事―――)
「えっちしよ?」
ぶふっ!
祐一は顔からベッドに倒れこんだ。
一瞬後、がばっと起き上がる。
「な、なな、ななななんですと!?」
「なんで貴族口調なのよぅ。イヤなの?」
「いいいいいやイヤとかそういうモンダイじゃないだろっ!!ああいうのは愛し合う二人が…」
しどろもどろ。
こんな夜にパジャマ姿で祐一の部屋にいる真琴を見てすら、そんな発想は全く出なかった祐一は焦りまくる。
…でも少し想像してみたりする。
(ま、真琴と………ぐあっ…)
「真琴は、祐一の事好き。愛してる…なのかどうかは分からないけど」
どくんっ、と。
心臓が跳ね上がった。
(真琴が…そんな。俺の事をそうやって見ていたなんて………?)
祐一はうろたえる。正直言って、やっぱりまだ子供なんだろうとどこかいつも侮っていた所があった。
今、祐一を見つめる真琴の目には―――確かに宿る想い。
真剣だった。
(俺は、どうなんだろうか…?真琴の事を、ちゃんと女の子として愛せるのだろうか?)
まだ残る迷い。自信の持てない自分の心。
それに、そうでなくても、真琴にはまだ早いのではないかと。まだ保護者的な感覚が抜けきれない。
「真琴…お前のその想いは嬉しいんだが、俺は…出来ない」
「祐一。目、閉じて」
祐一が迷いながらも勇気を出して答えると、間髪をいれず真琴が言ってくる。
「…あ、ああ」
疑問を持ちながらも、ここは素直に従っておくことにした。
静かに、目を閉じる。
「目…開けないでね」
真琴がゆっくりと近づいてくる気配がした―――
手を握る感覚。最初は右手、次に左手。
何を始めるのだろうと…思った瞬間、手がぐいっと後ろに引っ張られる。手首に痛みが走った。
「…だだだっ!?な、何してるっ!?」
目を開けた時には、真琴の顔は視界になかった。体だけは真横に見える。
「こら、暴れないでよっ!もうちょっとの辛抱なんだから」
座っているので顔を少しだけ振り向かせる事しかできなかったが、感触で何が行われているのかが分かった。
分かる暇もなく、それは完成していた。
おそらくは、ビニール紐。
「…なんで俺が手首を縛られないといけないんだ?」
きっちりと、体の後ろで。
「祐一が抵抗することは分かってたから♪でもね、祐一。今日1日は真琴の言う事に逆らっちゃいけないんだよ…忘れた?」
「…!!お、おい、まさかお前っ!!」
真琴が、座っている祐一の膝の上にしゃがみ込む。
これで、体の自由はほぼ完全に奪われた。
「祐一の事だからこういう時に色々気にしてそうだもん。だから、ちょっと強引にでも真琴が襲っちゃうことにしました♪」
「ま、待て!早まるなっ!!その…なんつーか、初めてってのは大切なんだぞ?冷静になって…」
「真琴は、祐一だったらいいの…それで」
少し真剣な表情で、祐一に迫ってみる。
真琴は祐一の心を動かす方法をよく心得ている。
「そ………それにしたってだな」
「真琴ね、ちゃんと勉強してあるから…安心して」
真琴の顔が、少しずつ近づいてきた―――



「…あああ」
途中から痛みを訴えて紐は外してもらったが、そこで止まる程の強い意志は持ち合わせていなかった。
完全に…結果的にではあるが、自分の意志でしてしまった………
「祐一」
真琴が、まだ少し涙を残した笑顔で祐一に笑いかける。
「そんな顔しないで………真琴の事嫌いじゃなきゃ」
「…悪い」
「うん」
(そうだな…今暗い表情なんてしてたらあまりに真琴に悪い)
でも。
後悔の念は消せない。何故だろう。何がそんなに痛いのか。
それは、まだ自分に迷いがあるから。まるで真琴の想いを利用したような形になってしまったから―――
…そして。
手首にまだ残るビニール紐の感覚が蘇る。
(…クセになったらどうしよう………)
結構真剣に思ってみた。
「ねえ、祐一」
そんな祐一の心情を知ってか知らずか、真琴が穏やかな声で呼びかける。
「…どうした」
「今日、最後の命令。―――一緒に寝よ?」
そんな真琴を見て、やっぱり俺は悩みすぎる悪い癖があると祐一は心の中で苦笑する。
「ああ。もう遅いし、寝るか。………と、そうだ」
「ん?」
祐一は立ち上がって、机まで歩いてゆく。
そして机の引出しから、ちょっと大きな何かを取り出した…
「せっかくだから、使わないとな」
”あいざわ ゆういち ここにねむる”
それは、真琴のプレゼント。今日という日を作り出したきっかけ。
祐一は大事にそれを抱えて、ドアに向かう。
「ありがと………」
真琴は、笑った。


「……ね」
「………ん?」
「どうせなら、今度からあのプレートも、祐一と真琴2人の名前書いておいてもいいかもね」
「お前毎日ここで寝る気か…?」
「………何よ。嫌そうじゃない」
「12時回ったからな。これでいつも通りの相沢祐一だ」
「…ふんだ。もっとたかっておけば良かったわ」
「はっはっは。何とでも言え。過ぎたことだ」
「………おやすみっ」
真琴は、そっぽを向いて布団の中に潜り込んだ。
「…おやすみ…真琴」


今日という日がこれからにどう影響してくるのだろうと。
明日からもう違う日々が始まるのだろうかと。
そんな事を思いながら、祐一は眠りについた―――



実際は明日のほうがさらに波乱の日となる事を知らず………



FIN....




【真琴編・あとがき】

今回のラブラブ度…50%

↑久しぶりにラブラブ度表示やってみました(笑)
今回結構ラブってますねー。最近にしては珍しいですねー(そうなのか?)

しっかし、祐一くん、SS一つごとに弱くなっていってませんか(爆)
まるきりオモチャ扱いな事がたびたび(^^;;

それにしても、シリーズというより単体でも良かったかもしれませんね。最初から真琴SSということにして。
真琴編読んだ後にプロローグ→名雪編と読むとあまりにはっきりしない祐一くんに苛立つかもしれません(^^;;
許してあげて下さいね?祐一くんは、そういうとこも魅力なのです(勝手に決める(笑))

もしよろしければ感想など送ってくだされば♪
喜んで冷凍食品40%OFFセールに出かけてきます♪
では、また次作品で。