「とにかく、何でもかんでも”一緒に”、なんだ」
祐一は、そう切り出した。
「一緒に学校行きたい、一緒に散歩したい、一緒にご飯食べたい…って、これは別に普通か。あとマンガまで一緒に読みたいとか。一緒にって言わないのはトイレと風呂くらいだな」
ぺらぺらといい調子で話し続ける。
随分とノってきているようだ。
「一緒に寝ようなんてあいつ普通に言うからな。断っても、寝ている途中にベッドに潜り込んできた事もあった」
勢いのまま話していたが、ここで少し何か気付いたように一旦口を止める。
―――いや、言っとくが変な事はしてないぞ。そりゃ…あいつだって女だからな、その、俺だって女の子が隣に寝てるのに平然と寝られるほど悟りを開いてはいないというか。なんだ」
「………」
「あー、まあ、知的探究心というか、寝ているのを確認してちょっとだけ触ってみたりとかしないでもなかったかもしれないような気もするとか」
相手から何の反応も返ってこないのに少し焦り、早口になる。
「い…いや、顔だよ、顔。そこんとこ重要なのでよろしく」
「………」
「…さ、さすがにベッドの中で抱きつかれた時はもう俺も何かに魂を売ってしまいそうなそんな感じだったが。いやだって考えてみろよ。なあ。ほらなんか、そんなことわざがあるだろ?体は正直。」
………
祐一はさすがに不安になって言葉を止める。
そろりと相手の反応を伺ってみる。
―――あ、どうぞ。続けてください」
ようやく口を開いた美汐から出た言葉は、至ってどうということもない、先を促すものだった。
いや、というよりは………
「…なんか興味津々という感じに見えるが」
「気のせいです」
「ちょっとだけ顔がにやけてる」
「蜃気楼です」
平然と言い放つ美汐。
実際祐一が言うようににやけているようにも見えない、普段通りの無表情で次の言葉を発する。
「それで相沢さんは、熱い布団の中息もかかるような距離で真琴の柔らかい体の感触を全身で楽しんでからその後どうしたのですか」
祐一はひっくり返った。
「あ、あ、あのなぁ…」
「そう相沢さんは自らに生まれた黒い欲望に逆らえず背中に回した手は少しずつ下がってゆき右手はボタンの隙間からそっと甘く誘惑するふくらみを」
ごすごすごすぐぼっ。
とりあえず正中線四連突をかまして黙らせる。人間の急所を的確に攻める最強の技だ。
―――ぁんっ」
何故か甘い声を上げて吹っ飛ぶ美汐。そのまま地面に激突し、一回大きく跳ねる。
ごろごろごろ…
………
そしてそのまま動かなくなった。
「って、ヤバいっ!思わず真琴用の対処しちまったっ」
慌てて駆け寄る祐一。
すぐに抱き起こす。しゃがみこんだひざの上に美汐の頭を乗せるように。
「あ…相沢、さん………」
「…大丈夫、なのか?」
「ああ…真琴に…真琴に、伝えてください………ごほっ、ぅぐ……み、美汐は………美汐は世界一の美少女だったと………」
祐一は黙ってひざを引き抜いた。


―――それで、S・相沢さん」
話は3分後に普通に再開された。
美汐の頭の後ろに大きいこぶがあるように見えるのはとりあえず気のせいという事にしておく。
なんにせよ彼女は平気で話している。
「…ていうか、なんだSって」
「ではサド相沢さん」
「とても明快な回答サンクス」
むぅ、と祐一は唸る。
少なくとも本人の中にも完全否定できない何かがあるらしい。
「それで、ノロケ話を聞かせるために私の貴重な昼休みを潰して中庭に呼んだのですか、S・相沢さん」
美汐は冷たい目で…ということもやはりなく、いつも通りの無表情でぽそりと言う。
時々頭の後ろをさすっているのが微妙にわざとらしい。
「…ちなみに、もしそうだと答えたらどうする?」
「蹴ります」
即答だった。
祐一は一歩引いて、やれやれと首を振る。
「どうも俺の周りは暴力的な人間が多くていかん」
「類は友」
「言うな」
わざわざ人差し指をびしっと立てて解説しようとする美汐を即座に止める。
自覚症状はばっちりなだけに。
「そういうわけじゃない。言いたかったのは、要するに―――
とりあえず否定の言葉から切り出して、そこから言葉を考える。
「…要するに、あいつは友情も恋愛も何も知らないんだ」
選んだ結論は、そこだった。


「真琴は、変な言い方だが、俺離れができていないんだと思う」
いつも一緒に、何でも一緒に。
”少しでも離れてるとすごく不安になって、寂しくて、すぐ会いたくなる…”
人恋しいのかと思えば、だからといって名雪や秋子になついているようには見えない。美汐でも同じだ。
どれだけやめろと言っても、学校まで迎えに来るのをやめようとはしない。最近は昼休みの時間も狙って来るようになった。
「たぶん、真琴はちゃんとこっち側…普通に人間の暮らす世界に出てくるのを拒否しているんだろう」
いきなり受け入れるには広すぎる世界。それは無理も無い事だった。
受け入れられないまま同時に自らも疎外感を感じ、自分の居場所を見失って不安になる。
「ただ俺の側にいることだけで、確かな自分の存在を確認できるのかもしれない。そして安心するんだ」
たった一人、自分とこの世界の接点になる人間が、祐一だ。
祐一の存在だけが真琴を繋ぎとめている。
「…俺だっていつまでも一緒にいられるわけじゃないだろうから、このまま放っておくわけにはいかない」
「あなたは」
ただ静かに話を聞いていた美汐が、ここで口を開く。
「相沢さんは、一緒にいるつもりはないのですか?」
「俺だっていつまでも一緒にいたいに決まってる」
美汐の言葉には、迷い無く答えた。
「だからって、俺になついているからってこのままでいいなんてのは、俺の都合だ。あいつにはまだ選択肢すら与えられてない」
「真面目ですね、相沢さん」
「意外か?」
「かなり」
ちっと舌打ちする。
「俺だって好きな女のことくらい真剣になる」
「恥ずかしい事言いますね」
どれだけカッコよく決めようとしても、美汐は容赦なくツッコんでくる。
少し肩を落としながらも、なんとか次の言葉を続ける。
「もしちゃんと人付き合いが出来るようになって、それで真琴が俺から離れていくのなら…それは仕方ない事だろ?」
それはとても悲しい事ではあるが、受け入れなければならない。
真琴自身が、その道を選ぶのならば。
―――真琴は、どこにも行かないわよっ」
植え込みの木ががさがさと大きな音を立てた。
祐一が驚いて…美汐は驚かずに…その方向を注目すると、予想通りそこから予想通りの人が現れた。
彼女が。
体中に葉っぱをつけて。
「………野生のまんまか、お前は」
「うっさいわねっ!暇だったからちょっと探検してたんじゃない!」
「不法侵入のくせに威張るなよ…」
「おはよう、真琴」
そのやりとりに構わず、美汐はマイペースに挨拶する。
「おっはよー、美汐っ」
「ん?今日は機嫌いいんだな?」
「なんでよ」
「昨日はずいぶん怖い目で天野の事見ていたじゃないか。可哀想に、怯えていたぞ」
これ見よがしにため息をついて見せて、大きく首を振って訴える。
その向こうでは美汐が「別に」とぽそりというのが聞こえたが、それは聞こえないことにした。
「あー、そんな事もあったっけ?いいのいいのっ。気にしちゃダメよぉ〜」
真琴は気楽そうにぱたぱたと手を振って笑う。
「そっれよりぃ〜」
つつ、とにじり寄って祐一の腕を取る。
そのまま腕一本に身を預けるように倒れ掛かる。
「うぉ…重っ」
「祐一………好きな女って、誰のこと?」
上目遣いに祐一のほうを見上げて、期待のこもった視線で。
それは、その答えを確信している証。
「聞いてたのか…くそ」
祐一は視線から逃れるように顔を背けながら小さく悪態をつく。
「誰の事ぉ?」
「言う義務はない」
「祐一、照れ屋さん〜」
「………」
顔を逸らす祐一に回り込むように覗き込んでみる。
逆方向に逸らす。
また追いかける。
ぐるっと180度回ってみる。
腕にしがみついたままの真琴も同じように動くから無意味だった。
上を向いてみる。
「あうぅ………」
祐一の勝利だった。
…なんとなく、そのまま二人とも止まってしまう。
「………私が代わりに教えてあげましょうか」
しばらくの氷結の後、その様子をじっと眺めていた美汐が再び時間を動かす。
「相沢さんが好きなのは」
「分かった待てちょっと待て」
本当に言いそうな美汐を慌てて止める祐一。
美汐は素直にぴたっと言葉を止めた。
「………えぇいっ、真琴、目を閉じろっ」
「…え?あ、うん…」
いきなりの言葉に戸惑う真琴も、祐一の右手がすっと頬の辺りに当てられるのを見て大人しく目を閉じる。
手が顎にかかる。燃えるように熱くなっている手を感じる。
ふと、目の前が暗くなった。
………………
………

「………やっぱ、やめ」
ぐぼっ!!
真琴は目を開けると同時に祐一の鳩尾に正拳を叩き込んでいた。


「いつでも一緒にいたいと思う事は、そんなに変な事でしょうか」
美汐が静かに指摘する。
「相沢さんは少し過保護なのではないですか?もっと、自分の心に素直になっていいと思いますが」
「真琴もそれ賛成〜」
真琴が同調する。

美汐は、先程聞いたばかりの祐一が考えている事を全て真琴に話した。本人は、どう思っているのだろうと。
おそらく祐一の性格からすると本人にはそんな考えは露とも見せていないだろう、と確信があった。
最初祐一は止めようとしたが、真琴がどうしてもと全て聞きたがったため、結局止めるのは諦めた。
そして、話を聞き終わった真琴は、言った。
「…真琴に何にも言わないで一人で色々悩んでみせてるっていうのが許せないわ」
内容そのものよりも。
「難しそうな事言ってるけど要するに祐一は、前も言ってたみたいに友達いっぱい作れっていいたいんでしょ?大きなお世話よ」
「でもお前、このままじゃ…」
ちゃんと説明しようとする祐一を手で制して、びしっと指を突きつける。
「真琴の事は自分でなんとでも出来るわよっ!祐一の事は………」
怒りにまかせて早口でまくしたてていた真琴が、ここで一旦言葉を切る。
一度、大きく息を吐く。
「真琴のためだとか、そういうのは全部抜きにして、ただ祐一自身の気持ちを知りたいだけなのよ」
今度は対照的に、小さな声で…
祐一は思わず言葉に詰まる。
―――相沢さん。一番好きな人に曖昧な態度を取られたまま、その人からもっと他の人と仲良くしろと言われて納得できると思いますか?」
そこに、別の方向からの声が祐一をさらに揺らす。
「たぶん、真琴はあなたが思っているほど世界を恐れているわけではありません。そう思えるような事があったとしたら、それは相沢さんがこのような態度を取りつづけているせいなのではないでしょうか」


「俺が…素直になったら、真琴もちゃんと人と付き合えるようになったりするってのか…?」
「逆に、相沢さんが真琴の”保護者”だと考えている間は何も変わらないでしょう」
美汐のあまりに衝撃的な話に、祐一は動揺する。
「真琴は祐一の子供じゃないんだからっ」
真琴も、美汐の言葉を否定はしない。
「友達の好きでも、恋人の好きでもどっちでもいいわよ。はっきりしないのが一番嫌なのっ!祐一の事だから一番好きな子は他にいるのかも知れないけど、それならそうってちゃんと言ってよねっ」
ふと美汐が手元の腕時計を見る。
昼休み終了まで、あと6分。
何と言えばいいのか分からず立ち尽くしている祐一に、声をかける。
「さて―――告白シーンの開始ですか?」



「ゆーいちーーっ!」
だだだだだだだっ!!
きぃぃぃぃーーーーーーーっ!!
猛ダッシュする音と、急ブレーキの音。
祐一はぜーはーと荒い息をつきながら、目の前で立ち止まる。
「…だから、手を振るな!大声で名前を呼ぶな!!」
「あ、ごめんごめん♪」
全く気にもしない様子で真琴が言葉の上だけ謝る。
「…ったく、俺がクラスで何言われてるか分かってんのかよ」
「そんなの知るわけないじゃない〜」
ぽかっ!
「まあ、言ってないから知るわけないよな」
「思いっきりグーで殴ってから納得しないでよぅ」
少しだけ迷惑そうな顔で抗議する。
もはやこの程度では打撃にもならないらしい………
「…で、今日はアレだな。結果、出たんだろ?」
「気になる?」
「当たり前だ」
へへ、と笑ってVサインをしてみせる真琴。
「合格〜っ!」
「おお………マジか!?」
「どぉ?惚れ直した?」
小さな胸を精一杯逸らして威張る。
「いや、感動した。正直お前の事見くびっていたな…」
「へっへ〜」
真琴は自然な動作で腕をのばし、いつものように体を祐一に預ける。
素直に受け止める、祐一。
「そして二人は周囲の目を気にもとめず熱い口付けを交わし長く長く―――
「そこっ!勝手なナレーション入れないっ!」
いつぞと同じようなタイミングで第3者の声が混ざってくる。
気付かないうちにすぐ背後まで近づいていた美汐にびしっとツッコミを入れておく。
無論、口付けなど交わしてはいない。
「しませんか」
「するかっ」
真琴がすっと体を離す。
「みっし〜、真琴ね、合格だったよー♪」
「おめでとう」
「明後日から同じ学校よーっ」
本当に嬉しそうに、意味もなく体をくるっと一回転させて喜びを表現する。
まだ学年が始まったばかりという事もあり、また色々な方面からの協力もあり、学校のほうに頼み込んで特別に編入試験を受けられる事になったのが、先月末の事だった。
決定から3週間というこの短期間、真琴はそれこそ人が変わったように勉強したものだ。
その驚異的な学習速度は祐一を震え上がらせるほどであった。
「これは世界に革命をもたらす才能だ!!」と寝言で叫んでいたと言われるが、それは真偽の程は定かではない。
そして、そんな僅かの間に習得した付け焼刃の知識で、真琴は見事編入試験に合格してみせた。
「そういうわけだな。これからは先輩と呼んで敬うが良い」
「体ばっかり大きくなって中身が伴っていない人の事を独活の大木って言うのよね〜♪」
「ほほう。勉強になるな」
祐一は感心して大きく頷く。
本当に色んなこと勉強してたからな、と振り返ってしみじみと思う。
なかなかに難しい言葉を知っているではないか。
………………
………
「………もしかして、俺の事か…?」
「今日は真琴の合格祝いですね。二人でデートの約束でもしてますか?」
「たぶん今晩は秋子さんがいろいろしてくれると思うけど〜。ね、今からみっしーと祐一と3人でどっか行かない?」
「俺の事なのか…」
「私が居てもいいの?」
美汐は首をかしげて、確認する。
「だって勉強するとき祐一よりもずっと役に立ったんだもん♪」
「それは、そうだけど」
祐一はうなだれて黙り込む。
「というわけで、れっつらごーーーっ!」
「どこに行くか決まってるの?」
「行ってから考える〜」
と、突然祐一が勢いよく顔を上げる。
「…カラオケだ」
「………うぃ?」
「俺の素晴らしい歌唱力を聴かせてなんというか俺の地位を取り戻してやる!」
「情けない目標ですね」
「っさい!行くぞっ!!」
「わー♪カラオケって初めて〜」


今日は、真琴の歌がプロ級である事が発覚する日となった。



「なあ、お前新入生の話聞いたか?」
「…新入生?こんな時期に?」
「そうか、知らないのか。なら楽しみにしとけ。驚くぞ」
男子生徒はにやりと含み笑いを漏らして後の言葉も待たず自分の席に戻っていった。
残されたほうは頭の上あたりに大きなクエスチョンマークを浮かべる。
入れ替わりに、担任の先生が教室に入ってきた。
HRの始まる時間に、いつも通りに。
ただ一つ大きな違いは、見慣れぬ女子生徒が隣にいる事だった―――
「………あっ」
違う。見慣れぬ、どころではない。制服を着ているから一瞬気付かなかった。
「今日からこのクラスで君たちと一緒に勉強することになった、沢渡真琴さんだ」
「はっじめまして〜♪沢渡真琴です!いっぱい友達できたらいいなって思います!よろしくお願いしますーっ♪」
一瞬しん、と無音が出来たのち、あっという間にどおーーーーっと教室中が喧騒に包まれた。
(………夢みたいだ)
知らぬ間に彼は、手に持ったシャーペンが少しだけ歪むほど強く握り締めていた。
彼女のほうを眺めながら。
HRが終わると、間髪置かず真琴の周りには人だかりができた。
「ねえどこに住んでるのー?」
「今までどこにいたの?」
「ねえねえ、沢渡さんていつも放課後学校の前にいた―――
「あ、ホントだぁ〜っ」
とにかく方々から質問の嵐。ただでさえ珍しいこの時期の「新入生」だ。まして今の自己紹介で注目度はばっちり稼いでいる。
真琴は一つ一つに必死に答えていく。
(さ、最初が肝心だよな………)
彼も勇気を出して席を立ち、その机に近づいていく。
と、その時―――
がらがらっ!
教室のドアがやや大きな音を立てて開いた。
反射的に、生徒全員の視線がそちらに集まる。
そこに、3年の制服を来た男子学生がいた。
「………あ」
教室内の生徒の反応を見て失敗した、というようにその男子生徒が気まずそうに顔をしかめる。
「祐一ーっ!!」
真琴は迷わずドアのほうに駆け出していた。
何も気にせず、そのまま体ごと男子生徒のほうにぶつかっていく。
というより、確かに抱きついている…ように見える。
クラス中の唖然とした視線を集めながら。
「…あー………真琴。忘れ物………間違って俺の鞄に入ってたから…」
祐一もどうフォローしたものか困り果てながらも、とりあえず目的だけは果たそうと数学Aと書かれた教科書を手渡す。
「あ、そっか。昨日祐一の部屋に置き忘れちゃったのね〜」
その言葉にさらに教室中がざわつく。
(兄弟…?)
(ブラコンかしら)
(あれ、でも沢渡さんって…)
「あー、じゃあ、そういう事でっ!!」
かなり危険な気配を感じた祐一は逃げるように教室を後に走り去っていく。
「お昼はちゃんと迎えに来てよぉーーーっ!!」
(大声で言うなっ!)
ぶんぶんと無邪気に手を振る真琴のほうを振り返らず、心の中だけでツッコミながら階段をダッシュで上っていった。
「ね、ねえ、沢渡さん…」
「?」
「今の………お兄さん?」
「違うわよぅ。真琴と一緒で、居候なの〜」
「じゃ、じゃあやっぱり一緒に住んでるんだぁ」
「うん」
「やっぱりそういうのって家族みたいなもんなのかなぁ。あの”ひとつ屋根の下”みたいな」
「………家族?」
真琴は首をかしげる。
少しだけ考える。
「家族には違いないけど、たぶん真琴にとっても祐一にとっても、お互いそれ以上に特別に大切な人だよ♪」
「………」
「………」
「…その、さっきの3年の先輩の名前、聞いてもいい?」
黙って聞いていた男子生徒がここで口を開いた。
「え、うん。えっとね―――


―――とても困った事態だと言いたいわけだ」
「ノロケ話?」
「違うって………」
今日も靴箱の中から「果たし状」と書かれた手紙を引っ張り出しながら、祐一はため息と共に名雪に呟いた。



Fin.


【あとがき】

あー
前中後合わせると完全に過去最長です…疲れました(^^;;
40KBに届くとは………

というわけで、真琴でした♪
めっちゃラブラブなのを期待していた方には、ごめんなさいです。だいたいこんな感じになりました〜
あんまり可愛らしさは表現できませんでしたね…(汗)

色々遊んでみました(笑)
美汐はもうちょっと遊んでも良かったかもと思いながらも。やりすぎるとわけわかんなくなってくるので程々に。
中編の最初はお遊びの極みです(^^;

さあ、きっと不満バリバリのお兄さん方いらっしゃる事でしょうっ!
というわけで!
………ごめんなさい(爆)
まあ、僕としてはこれでいいかなと思って………思って………

感想その他意見等心よりお待ちしております♪
ああ、久しぶりにコレ言えました〜