「なあなあ、あとどれくらいだ?」
「あとって……まだ始めたばかりじゃない。まだまだこれからよ」
「5分くらいか?」
「……1時間くらい」
「ぇ」
「魔理沙、本当にこういうのやったことないのね。生地を寝かせたり焼いたり色々あると、始めてから何時間も待つものもあるのよ?」
「えー。面倒なんだな。そういうのこそ人形にやらせればいいじゃないか」
「わかってないわね。こういうのは、作る過程が楽しいの」
「おお。そいつは素晴らしい。そして私はそれを食べるのが楽しい。めでたしめでたしだ」
「んもう……魔理沙らしいわ」
「ん、ありがとな」
「……へ? な、なにがよ、いきなり」
「よく作ってくれてるからな。いつもそんなに時間かけてくれてたんだろ? ……あー、うん。あれだ。ちょっと、いや、結構、嬉しい」
「え、あ……えー……な、何言ってるのよ、今更っ! そういうことはもっと早く気付いて言ってほしいもんだわっ」
「ごめんな」
「え!? あ、うん、いいんだけど、その、魔理沙が嬉しそうに食べてくれるだけで私も幸せだし……あ、えっとそうじゃなくて今のは別にそんな……」
「よし、せっかくだし今日はアリスの腕前を全部見せてもらうとするか」
「へ……あ、う、でも、地味な作業ばっかりだから、見てても暇だと思う……わ」
「話をしながらなら大丈夫だろ?」
「……し、仕方ないわね。本当なら集中してやりたいんだけど、特別だからねっ」
「おう。しっかりと技を盗ませてもらうぜ」
「……ふん。魔理沙には無理よ」
「かもな。アリスみたいに器用じゃないし」
「……え、あ。うんでも魔理沙ならきっとちゃんと教えれば大丈夫だと思うから」
「どっちだよ」