若者の活字離れを憂えたノーレッジ先生による、本の素晴らしさを再認識するための特別講座が開かれました。
「音読は全ての基本よ。ゆっくりと、意味をかみ締めながら読むことが大切ね」
今日は最初の授業ということで基本中の基本からだったようです。次回から応用編に入るということで、学生達の期待も高まっています。


「夢中になって読んでたらこんな時間になってたわ。そろそろ帰るわね。これだけ、借りてくわ」
「あ……」
 ぴと。
「え? 何?」
「……ちょっと待って」
 ごそごそ。
 ぺらり……ちら。こほん。
「えーと……『もう遅いし、お嬢さん一人で夜道を歩くのは危険だよ。泊まっていったほうがいい』」
「わー物凄く不自然な棒読み……歩かないし」
「『警戒しなくて大丈夫さ。君の信頼を一度でも裏切ったことがあったかい?』」
「信頼した覚えもないけど……で、何読んでるの、それ」
「……」
「……?」
「……騙されたわ」
「?」


原題:「台本を書いた小悪魔にはあとでおしりぺんぺんの刑」


 がちゃ。
「なんだ、いるなら返事くらいしろ……よ……」
「……え……ぁ」

「……その、なんだ。悪かった。これからは、勝手に入るのは控えるぜ」
「……そ、それはそれでっ……なんか、いつも、あんな、ええと……してるみたいに思われるのも……うぅ」
「あ……はは。気にすんな。悪いことしてたわけじゃ、ないんだしな」
「……魔理沙は」
「え」
「……」
「……」
「な、なんでもない。忘れて」
「……あ、ああ」


「ねえ」
「何かしら」
「……メイド達の視線が気になるんだけど」
「そう。で?」
「……うう。別に」
(本当にこうしないと歩けない容態なのかしら……そうは見えないけど)